小説集
長編小説を主とした小説集……1.小説「ゴエモン」−−2.小説「才蔵」−−3.小説「拙者、才蔵」−−4.「日本軍上陸−パタニ王国」(新連載)−−4つの小説をお楽しみください。
プロフィール

石川淳也

Author:石川淳也
【石川淳也】小説「ゴエモン」著者
高校三年生。現在、大学受験勉強に悪戦苦闘中。
ゴエモンは小学2年生のときに我が家に来て、8年間一緒に暮らしました。
この物語は、ゴエモンとの思い出に少しだけ脚色したものです。

【山崎ミカ】小説「才蔵」著者
現在、高校二年生。中学生のとき才蔵と出会い、二人で生活しています。この小説はミカと才蔵の不思議な関係と二人の活躍を少しだけ脚色したものです。

【宮根真司】小説「拙者、才蔵」著者
本名、霧隠才蔵。山崎ミカとタイへ旅行した際、不思議な出来事に遭遇した。事件もあった。それらを小説にしたもの。

【田中廣一】小説「日本軍上陸」著者
拙者、才蔵に出てくる山田長政、山田オクン、脇坂、里見等と不思議な体験により出会った。その体験を小説にしたもの。


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才蔵 第一章 平成の時代 No.12
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小説「才蔵」目次、紹介、あらすじ【現在進行中】 

小説「ゴエモン」目次とあらすじ(第一巻終了) 





 山崎ミカです。

 今回、私をいじめていた中沢さんが学校へ登校してきます。

 また、いじめられるのでしょうか? 才蔵お兄さんがいるから

大丈夫だとは思うけど……




  ==では、どうぞ!==


「ところで、お腹が空いているんじゃあない。

 私は給食があったけど、お兄さんは食べるものがなかったでしょ。

 気が付かなかった。ごめんなさい」

 才蔵は、ピンポン玉大の土饅頭のようなものを出した。

「これを食べたから大丈夫じゃ」

「何?これ!」

「これを食べれば、二日は腹に何も入れなくてもすむという食べ物じ

ゃ。

 忍びの仕事をするとき敵の城に入り込み、じっと様子をうかがうため

に十日間位は天井裏にいることもあるから、こういうものを持っている

んじゃ」

「へえー、携行食糧かー。

 でも、その携行食は大事なものなんでしょ。大切にしなきゃ!

 これから、いい所へ連れていってあげる」

 ミカが連れていったのは、コンビニであった。

 コンビニに入る前にミカが才蔵に言った。

「中で喋っちゃあだめよ。

 拙者なんて言ったら変に思われるから、ねっ!」

 才蔵は苦笑した。

 コンビニの中で、ミカは才蔵を弁当コーナーに連れて行き、おにぎり

を四つ取って聞いた。

「これでいい?」

 才蔵はうなずいた。

 ミカは、男性用のパンツと肌シャツも一着づつとった。

 いずれもL寸。−− 才蔵の体格と亡くなった父親を比較してM寸か

と思ったが、万が一を考えてL寸にしたのである。

 レジに行き、千円札四枚を出して釣りを受け取った。



 公園でおにぎりを食べながら才蔵はミカに聞いた。

「これらを手に入れるために出した四枚の紙は何でござるか?」

 才蔵の時代、紙幣は無かったのだ。

 ミカは、千円札、五百円玉、百円玉など財布にあった紙幣とコインの

全てを出してお金の単位を教え、これらがあれば生活に必要なものは何

でも買えることも教えた。

「このお金を手に入れるにはどうすればよいのじゃ?」

「働かなきゃあ駄目よ。

 でも、私のお金は、ママから貰ったお小遣いなの。ママが働いて得た

お金よ」

「拙者も働く必要があるな」

「大丈夫よ。私の家にいればこうして食べられるんだから」

(これから何年もこの時代で生きていくとすれば、そういう訳にもいく

まいて。もっと知るべき掟がありそうだ)

「ところで、学校へは誰もが行っているのか?」

「そうよ、六歳になると小学校に入学して、小学校と中学校は義務教育

だから誰も行かなければいけないの。

 中学校の次は高校と大学があるけど、これは義務教育じゃあないの、

でもほとんどの人が行っているんじゃあないのかな」

「そうであろうの! ということは、誰が六歳になったかが政治をして

いる者には分っているということであろう。

 働けば儲けた分から年貢を納めさせるように、誰がいくら儲けたかも

政治をしている者には分っているはずじゃあないのか」

「そうでしょうね。詳しくは知らないけど」

「さすれば、拙者が働いてお金を得るためには、あらかじめ拙者の存在

が政治を行なっている者に明らかでなければならないと考えるのじゃ

が?」

「難しいことを言うのね。良く分らないわ」




 マンションに帰った。

 才蔵は、バスルームでミカがコンビニで買った下着に着替えた。

「上の方は良いが、ふんどしの方は良くないな」

「どうして?」

「何と言うか…… 股間が落ちつかぬのじゃ」



「コカン? ……  アッハハ」


 ミカは大声で笑い出した。

「私、女だから良く分らないけど、慣れるんじゃあないの。

 ふんどしってパンツの事でしょ」

 と言ってリモコンでテレビをつけてNHKにチャンネルを変えた。相

撲の実況中継をしている。

「あれと同じものをしていたの?」

「あのような厚さではなく、また堅そうなものでもないが、形は同じじ

ゃ」

 返事をした才蔵はそのまま、テレビの画面を見つめていた。

「髷をしている者もこの時代にいるのか……

 では、髷を結っても良いのじゃな?」

「駄目よ! この頭のスタイルは、お相撲さんだけなんだから。

 髪も切らなきゃあ変だよね」

 才蔵は、髪を切るということは、元の時代に戻れなくなるという気持

ちから一瞬ひるんだが、頭を剃って僧侶に化けたことを思い出して、髪

を切ることにした。

 バスルームに入って、小刀で髪をばっさりと切った。

 今日街で見かけた男性の髪型に近いものにその場でセットした。



 それから二日間、ミカはいじめにあうこともなく、平穏に過ごした。

 才蔵はミカの教室だけでなく、他の教室の授業も覗いて知識を得るよ

うに努めていた。



 三日目、右頬にガーゼを貼り付けた中沢恭子が学校へ出てきたが、た

ばこを持っていたという事実から、登校早々叱られていた。

 その日の昼休み、中沢がミカの前に立った。

「ちょっと来な!」

 ミカの腕を取って教室から出た。

 中沢と一緒にいる女生徒三人も後を追った。

 ミカは、心で叫んだ。




『おにいさん、助けて!』



『安心しろ、大丈夫だ』

 才蔵は、いつもの銀杏の木から学校の屋上に飛び、建物の中に入っ

た。

『三階の女子トイレよ、助けて!』

 才蔵にミカの声が聞こえた。

 中沢はトイレにいた女生徒達を追い出し、ミカを一つのトイレに押し

込み、ドアを押さながら、他の三人にバケツに水をいれてくるように言

った。

 中沢達四人が、それぞれ水の入ったバケツを持ち、



「山崎、学校へ来るなと言っただろ!

 二度と来れなくしてやる!」




 といって、ミカの頭上から水が落ちるように、−− 今にもバケツの

水をかけようと、−− いや、バケツごと放り投げようとしてる。


 その時、才蔵が入って来た。が、才蔵の姿は見えない。


 才蔵は、中沢達四人の右ひざを後ろから蹴った。一瞬であった。

 水の入ったバケツ、モーションをかけて、頭上に振り上げたとき、才

蔵に蹴られた。−− 中沢達はガクッとひざ折り曲げ、バランスを崩し

た。−− 四人は頭からバケツの水をかぶり、床に尻餅をついている。




『ミカ、大丈夫だ。

 出て、教室へ走って帰れ!』




 ミカはトイレから飛び出し、その勢いのまま教室へ向かった。



「ちくしょう! 誰がやった」


 トイレから追い出された女生徒達が中を覗いている。



 ==今回はここまで==



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 美奈子で〜〜す。

 ああーっ、中沢恭子って、なんてしつこいんでしょうね。

 いじめると決めたら、どこまでもいじめ続けるんですね。

 トイレに閉じ込められたミカさん、危機一髪で才蔵さんに助けてもら

いました。

 こんなことが続くんじゃあ、中沢恭子をぎゃふんと言わせるような、

何かをしなきゃあ、いじめは止まらないと思うわ。






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