小説集
長編小説を主とした小説集……1.小説「ゴエモン」−−2.小説「才蔵」−−3.小説「拙者、才蔵」−−4.「日本軍上陸−パタニ王国」(新連載)−−4つの小説をお楽しみください。
プロフィール

石川淳也

Author:石川淳也
【石川淳也】小説「ゴエモン」著者
高校三年生。現在、大学受験勉強に悪戦苦闘中。
ゴエモンは小学2年生のときに我が家に来て、8年間一緒に暮らしました。
この物語は、ゴエモンとの思い出に少しだけ脚色したものです。

【山崎ミカ】小説「才蔵」著者
現在、高校二年生。中学生のとき才蔵と出会い、二人で生活しています。この小説はミカと才蔵の不思議な関係と二人の活躍を少しだけ脚色したものです。

【宮根真司】小説「拙者、才蔵」著者
本名、霧隠才蔵。山崎ミカとタイへ旅行した際、不思議な出来事に遭遇した。事件もあった。それらを小説にしたもの。

【田中廣一】小説「日本軍上陸」著者
拙者、才蔵に出てくる山田長政、山田オクン、脇坂、里見等と不思議な体験により出会った。その体験を小説にしたもの。


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第四章 一九四一年十二月八日 No.11
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 現在、「日本軍上陸 − パタニ王国」を連載中です。
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小説「才蔵」目次、紹介、あらすじ  【主な登場人物】

小説「ゴエモン」目次とあらすじ(第一巻終了) 


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 日本軍上陸 − パタニ王国



第四章 一九四一年十二月八日 



 ====

 しばらくして、「かかれーっ」と言う内田の声、それに続いて何人かの「わーっ」と掛け声が聞こえた。これが合図である。

 暗いジャングルの中で、火花が飛んでいる。

「我らも!」オクンが刀を抜いて、ジャングルの中に駆け込むと、数馬達もそれに続いた。

 その時フォンが目を覚ました。それを見た脇坂はフォンの元に戻った。

 数馬がジャングルの中に入ると、目の前に敵の一人。上半身裸で頭にはターバンを巻いている。

 月明かりの中で、その男が刀を振り下ろしたように見えた。

 とっさに数馬はそれを刀で受け止め、火花が散った。

 廣一は数馬の体の中でずっしりとした重さを感じた。日本刀よりも幅広で厚い刀身。

 もう一度、男が刀を振り下ろしてきた。たまらず数馬は横に飛び、相手の刀を避けて横殴りに刀を振った。それが男の腹を切り裂いた。

 ボチャッという音が足元で聞こえ、数馬の足に生暖かいものが触れた。

 男が崩れ落ちた。生暖かいものは男の内臓だった。

 男は脇坂とフォンの方を向き、「フォン、フォン」と言った。

 喘ぎ喘ぎの声ではあったが、男の言葉が数馬の耳に響いた。

「なにーっ、あの子はお前等の味方か!」

 叫んだ数馬は脇坂とフォンのいる場所へ駆け戻り、

「やはりお前は密偵だったのかーっ」

 フォンは脇坂の後ろに隠れようとした。

「たっ、田中殿、何を言われる」

 と、脇坂が叫ぶのと、数馬がフォンの腹に刀を突き刺したのが同時だった。

 フォンは「あーっ」というか細い声を出しながら脇坂の足元に倒れた。

「田中殿、許さぬ」

 脇坂が数馬に向かって刀を抜こうとした。

「待てっ! 拙者が切った男が確かにフォンと言った。この子はあやつ等の味方だったのだ」

「そのようなことはない。誤解だ」

 オクン達が戻ってきた。

「一人残らず、切り倒した。我らの方は被害を受けていないようだ」

 フォンの腹から血が流れている。数馬の刀からは血が滴り落ちている。

「数馬殿、やはりフォンは敵方であったのだな」

 数馬がうなずいた。

 そのとき、ジャングルから男が這いずりながら出てきた。内臓を引きずっている。数馬が切った男だ。

 這いながら男が何か言った。男の言葉はマレー語でオクン達には分らない。

「なぜ、フォンを殺したのかと言っている」と脇坂が訳した。

「フォンがお前等の味方と分ったからだ。フォンは今まで我らを騙していた」

 数馬の言葉を脇坂が男に伝えた。

 男は再び、漏れるような声で言った。

「フォンは決してそのような者ではない」

「ではなぜ、おぬし達の話しの中にフォンの名前が何度も出てきた」と、内田が聞いた。

「フォンは俺の妹の友達だ。お前達を見張っているときに、仲間に俺がフォンの話しをした。それをお前達は聞いていたのだな」

 脇坂が男の言葉をそのまま訳した。

 倒れているフォンを囲むようにして数馬は呆然と立っていた。

「フォン、フォン」

 数馬は横たわっているフォンを抱き起こしながら呼んだ。

 が、フォンは息をしていなかった。

 フォンを抱きしめ「すまぬ、すまぬ」と叫んだ。


 ==今回はここまで==


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