小説集
長編小説を主とした小説集……1.小説「ゴエモン」−−2.小説「才蔵」−−3.小説「拙者、才蔵」−−4.「日本軍上陸−パタニ王国」(新連載)−−4つの小説をお楽しみください。
プロフィール

石川淳也

Author:石川淳也
【石川淳也】小説「ゴエモン」著者
高校三年生。現在、大学受験勉強に悪戦苦闘中。
ゴエモンは小学2年生のときに我が家に来て、8年間一緒に暮らしました。
この物語は、ゴエモンとの思い出に少しだけ脚色したものです。

【山崎ミカ】小説「才蔵」著者
現在、高校二年生。中学生のとき才蔵と出会い、二人で生活しています。この小説はミカと才蔵の不思議な関係と二人の活躍を少しだけ脚色したものです。

【宮根真司】小説「拙者、才蔵」著者
本名、霧隠才蔵。山崎ミカとタイへ旅行した際、不思議な出来事に遭遇した。事件もあった。それらを小説にしたもの。

【田中廣一】小説「日本軍上陸」著者
拙者、才蔵に出てくる山田長政、山田オクン、脇坂、里見等と不思議な体験により出会った。その体験を小説にしたもの。


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第四章 一九四一年十二月八日 No.9
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 現在、「日本軍上陸 − パタニ王国」を連載中です。
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小説「才蔵」目次、紹介、あらすじ  【主な登場人物】

小説「ゴエモン」目次とあらすじ(第一巻終了) 


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 日本軍上陸 − パタニ王国



第四章 一九四一年十二月八日 


 ====

 二人は長谷川の家に戻った。軽い食事を取るためである。

 食事ができるまで、水を浴びて汗ばんだ衣類を着替えることにした。

 廣一は家の裏にある井戸で頭から水をかぶり、石鹸を体中につけて、冷水を浴びた、気持ちよい。

 二階の部屋で衣類を着替え、すがすがしい気分になった。

 気持ちよくなったことが悪かった。睡魔が襲ってきたのである。眠りたいと思った。しかし、目覚めると孝三が再び現われることもありうる。眠ってはいけない。

 極度の睡魔に廣一は負けた。ベッドにドサッと倒れ込んだ。






「田中さん、田中さん、眠っては困ります。未だ、やらなければならないことがあります」

 長谷川に肩を揺すられて目を覚ました。

 目を覚ましたのは廣一か? それとも祖父の田中少尉か?

「食事ができました。腹ごしらえをしましょう」

 少尉は目をこすりながら状態を起こして、周囲を見回した。

「あっ!」

 少尉は長谷川の家で目を覚ましたことに驚き、記憶をまた失っていたことに気づいた。

 遅れた二隻が無事に上陸したかどうか…… 知りたい。

 ふと、ベッドの脇を見た。そこにはリュック、その上に日本刀がある。

「この刀は?」

「えっ!」

 長谷川は、再び田中少尉に戻ったことを知った。

 中国人のムーチェンから貰ったとは言えない。

「私が差し上げたものです。昔、この辺りに住んでいた日本人武士の刀と、聞いています」

「……」

 少尉は鞘から刀身を抜いて目の高さまで持ち上げ、視線が刀身の一点にとまった。

「このK.TANAKAというのは? 私のイニシャルがついているが……」

「そうなんです。なぜだかわかりませんが、その文字が彫られてもいますので少尉に差し上げたのです」

 少尉は日本刀を持って一階の食堂へ行った。

「食事が終わったら、できるだけ早くパタニの北へ行きましょう。シンゴラで上陸をした一部が誤まってパタニを通過するかも知れません」

 シンゴラ上陸の日本軍が誤まってパタニを通過する? 少尉は、神山大佐の命令を思い出した。

 とすると…… パタニでの上陸は全て終了したということか? これは、想像で済ませる問題ではない。

「恥ずかしいことだが…… どういう訳か、また記憶を失ったらしい。日本軍の上陸はすべて終了したのだろうか? 遅れて到着する二隻も到着したのだろうか?」

「えっ! 記憶が無いのですか? パタニの上陸はすべて終了しました。

 シンゴラで上陸をした軍の一部が道を誤ってパタニを通過するかも知れませんので、これからその確認にいくところです。

 これは、神山大佐から少尉に対するご命令でした」

「確かに、そういう命令を受けている…… 」





 少尉と長谷川はトラックでパタニ北方郊外に出た。

 廣一がハジャイから乗合タクシーでパタニに来るときに通った道である。長谷川家の前の道は未舗装だが、パタニの幹線道路は舗装されている。

 道の両側はジャングルが続いている。そのジャングルの東側奥には長く続く砂浜と海があるはずである。

 少尉はあの日本刀を持っている。

 シンゴラからマレー方面への道は二本ある。

 マレー半島中央部を南下し、マレー領内の西海岸部に通ずる道と、シンゴラから海岸線に沿って南下して、このパタニを経由してマレー領内東部に通ずる道である。

 この二つの道は唯一、パタニの南で南西に向かう道によって結ばれている。

 パタニで上陸をした部隊は海岸線を南下せずに、パタニを基点としている南西方向の道に入った。

 一方、シンゴラで上陸をした部隊はハジャイの街にでて、そこからマレー半島中央部の道を進んでいる。

 誤まって海岸線に沿って南下している兵には、南西方向への道を指示しなければならない。

 シンゴラの上陸とパタニでの上陸が同じ時刻に開始されている。

 道を誤るとすれば、徒歩による移動の歩兵であろう。

 自動車や自転車で移動する部隊は、道を誤ることはないと思われる。


 ==今回はここまで==



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