小説集
長編小説を主とした小説集……1.小説「ゴエモン」−−2.小説「才蔵」−−3.小説「拙者、才蔵」−−4.「日本軍上陸−パタニ王国」(新連載)−−4つの小説をお楽しみください。
プロフィール

石川淳也

Author:石川淳也
【石川淳也】小説「ゴエモン」著者
高校三年生。現在、大学受験勉強に悪戦苦闘中。
ゴエモンは小学2年生のときに我が家に来て、8年間一緒に暮らしました。
この物語は、ゴエモンとの思い出に少しだけ脚色したものです。

【山崎ミカ】小説「才蔵」著者
現在、高校二年生。中学生のとき才蔵と出会い、二人で生活しています。この小説はミカと才蔵の不思議な関係と二人の活躍を少しだけ脚色したものです。

【宮根真司】小説「拙者、才蔵」著者
本名、霧隠才蔵。山崎ミカとタイへ旅行した際、不思議な出来事に遭遇した。事件もあった。それらを小説にしたもの。

【田中廣一】小説「日本軍上陸」著者
拙者、才蔵に出てくる山田長政、山田オクン、脇坂、里見等と不思議な体験により出会った。その体験を小説にしたもの。


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第四章 一九四一年十二月八日 No.6
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 現在、「日本軍上陸 − パタニ王国」を連載中です。
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小説「才蔵」目次、紹介、あらすじ  【主な登場人物】

小説「ゴエモン」目次とあらすじ(第一巻終了) 


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 日本軍上陸 − パタニ王国




第四章 一九四一年十二月八日 



 ====





 二時間が経過した。熱帯の太陽が浜の温度をあげた。

 田中少尉のまぶたが開いた、太陽がまぶしい。上半身を起こして背伸びをした。

 うん? 田中少尉ではなく、廣一の意志で背伸びをした。

 と、いうことは…… 試みに廣一は…… 立ち上がれた。

 祖父の少尉ではなく、廣一の意志で動く。

 良かった、また廣一の意志で動けるようになった。とは言うものの、またいつ、少尉に変るかも知れない。

 廣一は横で寝ている長谷川を揺り起こした。

 長谷川は寝不足の表情で目を覚ました。

「あっ、少尉」

「長谷川さん、私です。田中少尉の孫の廣一です」

 長谷川に祖父の体の中で、日本軍の上陸の一部始終を見ていたことを話した。

 が、話が混乱するので、山田長政の時代にタイムスリップしたことは話さなかった。




 「来ましたよ」

 長谷川が言った。

 水平線上に黒い点が見える。一隻の船、その両側に護衛艦と思われる船がいる。日章旗が見える。

 水平線上にいる船の旗の模様が見える?

 あんなに遠いのに、なぜはっきりと見えるのだろう? そうか、これは廣一の目ではない。田中少尉の視力だ。

 日本では近視の者が多いが、アフリカや南米などでは視力が三や四はざらで、それ以上の視力持つ者も多くいると聞いたことがある。

 この頃の日本人も視力がよかったのであろう。

「先ほどの少尉を真似てやればよいのですから、大丈夫ですよ」

「そうですね」

 と言ったものの、気持の中では逆に不安が大きくなった。

 最初の上陸では少尉を知っている者が多くいた。今度もそういう者がいるのではないか?

 どういう顔でその兵士を迎えればよいのだろう? という不安である。

 廣一は少尉がしたように懐中電灯を振り回した。

「この明るさでは、船からは見えないと思います」

 廣一は白いシャツを脱ぎ、頭上で大きく振り回し続けた。





 それから三十分、船は沖合いで停泊し上陸用舟艇が降ろされた。




 最初に上陸した集団の中から、

「少尉、遅れてすまん」

 と声をかけた者がいた。明らかに上官と思われる。

 廣一は祖父の少尉を真似て直立の姿勢で敬礼をした。

「先に上陸した部隊は、予定通りの上陸であったか?」

「はい、上陸は十一時三十分から始まり、四時頃まで続きました」

「そうか、予定通りだな。

 しかし、田中、民間人の口調でなくてもよいのだぞ」

 と上官は笑った。

 今の話し方が軍人らしくないということなのだ。しかし、どういう話し方をすればよいのだろう?

「少尉、マレー方面への道を私がご案内します」

 長谷川が廣一を助けるように言った。

「パタニ在住の長谷川氏です。上陸に協力してもらいました」

 廣一は少尉が佐々木大尉に言ったのを真似た。

 その上官は後から続いて上陸している者へ指示をして、長谷川とマレー方面へ南下する道へ向かった。


 ==今回はここまで==



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