小説集
長編小説を主とした小説集……1.小説「ゴエモン」−−2.小説「才蔵」−−3.小説「拙者、才蔵」−−4.「日本軍上陸−パタニ王国」(新連載)−−4つの小説をお楽しみください。
プロフィール

石川淳也

Author:石川淳也
【石川淳也】小説「ゴエモン」著者
高校三年生。現在、大学受験勉強に悪戦苦闘中。
ゴエモンは小学2年生のときに我が家に来て、8年間一緒に暮らしました。
この物語は、ゴエモンとの思い出に少しだけ脚色したものです。

【山崎ミカ】小説「才蔵」著者
現在、高校二年生。中学生のとき才蔵と出会い、二人で生活しています。この小説はミカと才蔵の不思議な関係と二人の活躍を少しだけ脚色したものです。

【宮根真司】小説「拙者、才蔵」著者
本名、霧隠才蔵。山崎ミカとタイへ旅行した際、不思議な出来事に遭遇した。事件もあった。それらを小説にしたもの。

【田中廣一】小説「日本軍上陸」著者
拙者、才蔵に出てくる山田長政、山田オクン、脇坂、里見等と不思議な体験により出会った。その体験を小説にしたもの。


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ゴエモン  第一章 出会い その1

小説集




 はじめまして、このブログの管理人、石川淳也です。

 現在、このブログでは次の長編小説を掲載しています。


   小説「ゴエモン」  著者:石川淳也

   小説「才蔵」   著者:山崎ミカ

   小説「拙者、才蔵」 著者:宮根真司(本名:霧隠才蔵)

   小説「日本軍上陸 − パタニ王国」 著者:田中廣一
        ==現在進行中==




 今後、小説の数は増えていきます。

  では、今のところこの4つの小説で、お楽しみ下さい。






小説「才蔵」にすすむ場合は、
下の目次をクリックしてください。
   ↓


小説「才蔵」目次


才蔵画像(大)







小説「ゴエモン」は、この下から始まります。
途中にすすむ場合は、下の目次をクリックしてください。
  ↓

小説「ゴエモン」第一巻 目次 

goemon





       小説「ゴエモン」第一巻 




 始めまして、僕、石川淳也です。

 これは僕とゴエモンという小犬の話です。

 昔、ゴエモンは泥棒でした。次にねずみになりました。そして小犬に

なって僕と出会いました。

 すみません。最初から訳のわからないことを話して……

 でも、この物語を読んでもらえればわかります。



goemon



第一章 出会い

 タッタッタッタ、タッタッタッタ。

 学校帰りの小さな男の子が体よりも大きなランドセルをユッサ、ユッ

サと左右に揺らしながら走ってくる。

 ランドセルもカチカチとせわしなく金具の音を鳴らしつづけている。

 ひたいにはかすかに光る汗が見える。

 なぜ、この子は走るのか? 大人にはわからない。いや、この子に

も、ほかの子供にもわからない。

 子供はわけもなく飛び跳ねたり、スキップをしたり、思い切り走るこ

とがある。今のこの子はそれだ。

 男の子は住宅街をまっすぐに通りぬけ、なだらかな坂道にきた。坂道

は直角に曲がる。この子の家はすぐそこ。

「淳ちゃん、お帰り、転ばないようにね、気をつけて……」

 西村のおばちゃんが、玄関先をほうきで掃いていた。

 この子の名前は石川淳也、小学二年生である。

 淳也は走るのをやめ、ひざに手を当てて前かがみの姿勢で、息も絶え

絶えに

「ハアーッ、ハアー。お、おばちゃん、たっただいま」と返事をし、そ

の場から動こうとしない。動けない。

「ジュース、飲む?

 ママは、幼稚園に美奈子ちゃんを迎えに行って留守よ」

 淳也はとなりを見た。西村家のとなりが石川淳也の家である。ママの

車がなかった。

「うん、飲む、飲む」ようやく息をととのえ、返事ができた。

 おばちゃんの家の玄関を入り、居間の横を通って台所に行く。居間に

は、高校二年生の京子お姉ちゃんの後ろ姿が見えた。

 淳也がもっと幼かった頃、この京子お姉ちゃんにだっこしてもらった

り、遊んでもらったのを覚えている。しかし、お姉ちゃんは髪を金色に

染め出した頃から、急に無口になり淳也に話しかけなくなった。

 淳也に対してだけでなく、近所の人々に対しても、つっけんどんな素

振りである。だから、少し恐いと感じることがある。

 淳也のママは京子お姉ちゃんをみて、「年頃だからねえー」と言って

いる。

「お姉ちゃん、こんにちは」

 と言って、台所のテーブルに座った。

 京子お姉ちゃんは「うん」と返事をしただけだった。

「淳ちゃん、無愛想でごめんね」

 おばちゃんが言った。

「不愛想って、何?」

「淳ちゃんが、『こんにちは』と言ったのに、京子は返事をしなかった

でしょ。あれを不愛想というの」

 おばちゃんは、オレンジジュースをグラスに注ぎながら言った。

「でも、おねえちゃんは、『うん』って、返事をしたよ」

 居間にいた京子お姉ちゃんが急に大声で笑い出し、台所へ来た。

「そうだよ、淳ちゃん、返事をしたよねー」

 京子おねえちゃんは、向かいの椅子に座って、上半身を前に押し出

し、顔をニューと出した。

 淳也は瞬間、目を大きく開き、閉じた。

 お姉ちゃんの目の周りが紫色なのだ。淳也の知っている顔ではない、

パンダに似ていた。

「ほら、淳ちゃんも、京子の顔に驚いているじゃあないの」

「おねえちゃん、どうしたの? 誰かになぐられたの」

「あっはは」と、おばちゃんが大声で笑い出した。

 京子おねえちゃんは「ふん」と言って、台所から出ていった。

 お姉ちゃんに失礼なことを言ったが、淳也にはわからない。

「京子、もっとましな化粧をしなさいよ!」

 おばちゃんは、お姉ちゃんに聞こえるように大きな声で言った。

「淳ちゃん、ごめんね、気を悪くしないでね。あの子はこの頃変なの

よ」

 淳也は両手でグラスを支え持って、一気にジュースを飲んだ。

「ブハー…… ああ。美味かった!」

 と言いながら淳也は、手の甲で口の周りを拭いた。

「おっ、おばちゃん、今のブハーは、ママには内緒にして……

 パパがビールを飲むときの真似をしていけないって言うんだけど、面

白くって、いつもやっちゃうんだ。ねっ!」

 斜めに見上げる淳也に、おばちゃんは笑顔でうなずいた。

 その時、台所の窓越しにママの車が戻ってきたのが見えた。

「あっ、ママだ!」

 淳也はおばちゃんの顔を見上げた。おばちゃんは微笑んでいた。

 おばちゃんの微笑みは、「戻っていいよ」という意味だ。

「ご馳走さま、帰るね」

「また、いらっしゃいね」

「うん」

 居間の前を通るとき、お姉ちゃんが足の爪に気味の悪い色のマニュキ

アを塗っていた。

「お姉ちゃん、さようなら」

 お姉ちゃんは、膝に顎を乗せた状態で「うん」と言った。

「マッマー」玄関を出るなり、淳也は大きな声で叫んだ。

 ママは恥ずかしそうだった。

「大きな声をだすんじゃないのよ!」

「お兄ちゃん、西村のおばちゃんちへ行ってたの? いいなあ」

 と、妹の美奈子が言った。

「ママ達がいないからジュースを貰った」

「お礼をいったでしょうね!」

「うん、言ったよ」

 ランドセルを机の上に置く。キッチンのテーブルにママがおやつのク

ッキーと牛乳を出してくれた。

「淳ちゃんはジュースを飲んだのだから、グラスに半分ね」

 と言いながらママがいつものように聞いた。

「今日は、学校で何があったの?」

「いつもと同じさ。授業があって、給食を食べて、休み時間に遊ん

で……」

「誰といつも遊んでいるの?」

「裕君とツッ君と、修君と…… えーっと、それから……」

「どんな遊びをするの?」

「ゲームの話をしたり、かけっこをしたり……」

「そう…… 美奈子ちゃんは幼稚園でどうだった?」

「由梨ちゃんがおしっこをお漏らししたの…… そしたらね。坂上先生

が、パンツの代わりを持って来て、由梨ちゃんに着替えさせて、洗って

いたよ」

「そう、先生も大変ね…… 美奈子はお漏らししたことはないでし

ょ?」

「美奈子ちゃんも、お漏らししたことあるよ」

「えっ、いつよ? そんなこと聞いてないわ、なぜ、黙っていたの

よ! あああっ……」

 ママはひたいに手を当てて声を漏らした。

「明日、幼稚園の先生に謝らなければならないわね……

 美奈子ちゃんも淳ちゃんも、これからは黙っていないで言うのよ」



 午後六時半、パパの帰宅。

 玄関で靴を脱いでいるそばから、美奈子がパパの背に飛びつく。パパ

は背に美佐子をくっつけたまま立ち上がり、ママのところへ行き「ただ

いまー」という。

 いつもの光景である。

 淳也も美奈子のように飛びつきたいが、僕はお兄ちゃんだ。美奈子の

ようにしたら恥ずかしい、という気持が芽生えてきて、この頃できなく

なった。

 パパの仕事は大学の助教授だと聞いている。助教授という仕事がどん

なものか知らないが、ほとんど毎日午後六時半に帰って来る。

 パパは、仕事よりも家庭を大切にしたいと言っていた。



 パパが帰ってくると、時計で測ったように家族は行動する。

 先ず、最初に風呂。パパ、淳也、美佐子の三人で入る。

 淳也と美奈子が浴槽に入る。パパは洗い場で体に勢い良く石鹸をつけ

ながら、今日学校であったことを淳也に聞いてくる。ママに話したのと

同じことを話さなければならない。しかし、この頃は、美奈子が淳也に

代わって、淳也の出来事を話すようになった。

「いつもと同じことよ、パパ。お兄ちゃんは、学校で授業があって、給

食を食べて、休み時間に遊んで……。

 遊ぶ相手は、裕君でしょ、ツッ君でしょ、修君なの」

 淳也が話したのと同じことを喋った。

 美奈子は続いて、ママに話した幼稚園での出来事と同じことを話し

た。

 パパはママと違って、美奈子のおもらしを叱らずに笑っていた。

 一通りの報告が終わると、パパは淳也を浴槽から出して、淳也の体を

洗う。次いで美奈子の体を洗う。淳也は慣れたけど、美奈子はパパが背

中を強くゴシゴシやるので、「痛い痛い」と言っている。

 その後、三人で浴槽に入る。美奈子は百まで数えたら風呂から出るこ

とができる。淳也は九九を間違えずに言い終えて上がる。

 美奈子と淳也が風呂から出るとき、パパが叫ぶ。

「おーい、ママー。美奈子が出るぞー」

「おーい、ママ。次は淳也だ」

 ママがバスタオルを広げてまっている。

 パパとママの連携プレイ。

 裸の美奈子がその中に駆け込むと、バスタオルで包んで水気を優しく

取ってくれる。

 淳也も同じようにバスタオルに駆け込むが、美奈子の体を拭いたあと

だから、気味が悪い。

 ああーっ、あの乾燥したバスタオルに飛び込みたい。

 そのためには、九九を早く言い終わらなければならない。

 風呂の後、七時十分頃から夕食である。淳也達が食べ始めるとパパ

は、ママが注いでくれたビールを飲む。

「ブファー。ああ、美味い!」

 と声を出す。そして、決まったように

「ママが注いでくれたビールは美味い!」と言う。

 毎日同じ言葉を聞いている淳也は、ビールというものは注ぎ方次第で

美味くも、まずくもなるものだと思っている。

 ママの料理に対して、美味いとかまずいとか言うパパの言葉を聞いた

ことがない。たぶん、ママの料理は美味くないのだろう。

 食事が終わるとママが風呂に入り、パパと淳也と美奈子で後片付けを

する。

 食事の後片付けは、パパとママが結婚をした時、ママがつけた条件と

聞いた。でも、パパは後片付けが楽しそうだ。

「淳也と美奈子が手伝ってくれるから、楽しい」

 その後、居間でテレビを見たり、話をしたり、適当に時間を過ごす。

 午後九時になると、淳也と美奈子は寝るようにせかされる。

 寝室には、奥からパパ、美奈子、淳也、ママと大小異なる布団が、四

つ並ぶ。

 いわゆる川の字で寝るのだけど、三人ではなく、四人だから川とはい

えない。

 美奈子のそばでパパも横になり、昔話を始める。

「おじいさんが山へ芝刈りに行くと、川上から大きな桃がドンブラコ、

ドンブラコと流れてきたんだ」

 パパは、抑揚をつけて、面白く可笑しく話し始めた。

 ドンブラコ、ドンブラコというところで美奈子は、キャッキャッと嬉

しがっていたが、ころ頃は違う。

「パパ、昨日はドンブリコ、ドンブリコで、その前はドンブラコッコ、

ドンブラコッコだったよ。今日はどうしてドンブラコ、ドンブラコな

の?」

 と美奈子が聞いた。

 淳也もパパの言葉の違いには気づいていた。

 ドンブリコとドンブラコッコ、ドンブラコの違いは、川を流れながら

桃が浮いたり沈んだりする様子が少し違うように思う。

 淳也はパパの話を聞きながら頭の中にその物語を想い描くのが好きだ

った。だから、毎日違う桃の流れ方を想像して楽しんでいた。

 淳也は想像力が人一倍強い。

 だから、想い描いたものと現実が入れ違って、自分でも分らなくなる

ことがある。

「淳也は文系で、美奈子は理数系だ」

 とパパとママが話していた。

 桃太郎が鬼が島に渡る前に、淳也は寝てしまった。





 ==今日はここまです。==


 桃太郎の物語って、何がでてきます? 猿と雉(きじ)と犬ですね。

 そう、犬が出てきます。小犬のゴエモンに近づいてきました。

 明日の配信でゴエモンが出てくるかもしれません。

 楽しみに待っていてください。




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