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石川淳也です。
そろそろゴエモンの活躍をみたいものです。
今回は、そのゴエモンパワーの披露といったところです。
そのため、少し長めの文章になっちゃいました。
では、どうぞ! 最後まで読み通し、楽しんでください。
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家に戻り、淳也はゴエモンに話しかけた。
「ゴエモン、夢で見たことは、本当ではないのかなー。
夢の中では、ゴエモンも一緒だったけど、ゴエモンは好美ちゃんを知
らない?」
ゴエモンは、淳也の顔を見て、
「クーン、クーン」と、何かを言いたいようだが通じない。
淳也の顔を眺めていたゴエモンはゴロリと寝転がって、目を閉じた。
淳也はゴエモンを抱えあげて
「ゴエモン、ゴエモン」
と、呼んだが目を開けてくれない。
一方、ゴエモンの方は淳也に眠れと言いたくて眠ったふりをしたので
あるが、淳也にそんなことはわからない。
今度は目を開けて
「クン、クーン、クンクン、クーン、クーン……」
と泣き始めた。その声にはリズムがある。
その泣き声を聞いた淳也は心地よくなり、目がとろんとしている。ゴ
エモンは催眠術をかけたのである。
「スー、スー……」
淳也の小さな寝息が聞こえてきた。
淳也は夢の中に入った。夢の中でゴエモンが『淳也』と言った。
『淳也、お前が見たことは本当のことだ』
『僕は、本当に好美ちゃんを見たんだよね!』
『ああそうだ』
『好美ちゃんが入れられているあの建物はどこだろう?
場所が分れば、ママも信じてくれるのだが……』
『大人は、夢の中のことを信じてくれないぞ。
淳也よりも大きくて、大人になっていない者が誰かいるか?』
『…… 隣の京子お姉ちゃんがいる』
『じゃあ、その子に話しをすればよい。
その前に、好美が捕らえられている建物の場所を捜そう。わしの背に
乗れ』
『ゴエモンの小さな体には、乗れないよ』
『構わんからまたがれ!』
淳也がゴエモンの小さな体にまたがると、ゴエモンは浮かび上がり、
淳也の体を持ち上げた。
不思議なことに、淳也の体とその下のゴエモンがフワリと浮き上がっ
たのだ。
地面から足が離れた。バランスを取るのがむつかしい。
ゴエモンは自転車のサドル程度の大きさである。
自転車に乗ったのなら、お尻をサドルにつけて、両足はペダルに、両
手はハンドルにつけている。だから身体の五ヶ所を自転車につけてい
る。一輪車でもサドルと両足のペダルで三ヶ所をつけている。
だからバランスを保つことができる。 が、ゴエモンにまたがった場
合はお尻だけの一ヶ所でバランスが取れない。
淳也はゴエモンの上でふらついた。
二階の屋根の高さになり、さらに上昇した。庭が小さくなった。
『わあー、すっ、すご〜〜い』
叫んだ淳也の体がぐらりと揺れ、バランスを失い、落ちそうになっ
た。ゴエモンが淳也の体を何とか支えた。
『情けない奴だ。わしの体をしっかりとつかんでおれ!』
『つかめたって、小さな体だから、つかめないよ』
『どこでもよいから、つかまっておれ! じゃあ、行くぞ』
股の下でゴエモンが言った。
淳也は左手をゴエモンの頭にのせて、右手を後ろに回してゴエモンの
しっぽを強く握った。
淳也達を誰かが見たら、ゴエモンは淳也の股に隠れて見えないから、
股を少し開いた淳也がおちんちんとお尻に手をやって、空を一人で浮い
ているよう見えるだろう。いかにも奇妙な格好である。
随分と高くなった、遠くまで見渡せる。水平に移動し始めた。
『あっサヤカちゃんの家だ。
ゴエモン、あれはねえー。僕の好きなサヤカちゃんの家だよ。
おーい、サヤカちゃーん』
ゴエモンはあきれて返事をしなかった。
淳也が通っている小学校の上を通過した。
『わあー、学校だ、学校だ。おーい、吉田せんせー』
『こっ、こら! 静かにせんか!
今から行く所を、覚えておかなければならないぞ。わかったな!』
『わっ、わかった』
川の上を横切り、公園の上を飛んだ。好美ちゃんが捕まっている倉庫
のような建物は見つからない。
淳也は空からの眺めを楽しんでいたが、ゴエモンは淳也の股の下で、
一生懸命さがしている。
方向を変えた。小さな山を越えた、ビルが幾つも並んでいる、遠くに
海が見える。
『あっ、海だ。いいなあー』
『淳也、見ろ! 海の手前に道がある。道のそばに青い屋根の大きな建
物があるじゃろう』
海の手前にバイパスが通っており、何台もの車が行き来している。
そのバイパス沿いに、大きな駐車場のあるパチンコ店があり、その隣
が青い屋根の建物である。
『うん、ある、ある』
『あれがそうじゃ。好美が捕らえられている建物だ』
ゴエモンと淳也は、その建物のそばにゆっくりと降りた。建物は高い
塀で囲まれており、入り口に“高島印刷株式会社”と書かれていた。
しかし、淳也には“高島”という漢字は読めても、“印刷株式会社”
が読めない。
『中に入ってみよう』
『えっ、僕らが捕まったらどうするの?』
『これは夢だ。わしらの姿は誰にも見えない』
『そうなの、便利だね』
塀の入り口は鍵がかかっていた。
『ゴエモン、入れないよ』
『入れる、ついて来い』
ゴエモンは塀の壁に向かって歩いて行く。すると、塀の中にゴエモン
の体が消えた。
『ゴエモン、ゴエモン。どこに行ったの?』
『淳也、お前も同じようにしてみろ』と、塀の中からゴエモンの声がし
た。
淳也も同じように壁に向かって歩いて行った。壁に触れた。が、壁に
当ったという感覚はなかった。すーっと壁を抜けてしまった。塀の内側
に入ったのである。
建物の中が透視して見えた。二階の小部屋に好美ちゃんが見える。
『ここだ』
『うん、そうだね……』
淳也は返事をしたが、どうしたことだ。淳也が消えてしまった??
ゴエモンは慌てた。
『淳也、淳也ー。どこへ行った!』
その少し前、石川家では、ママが寝ている淳也を起こそうとしてい
た。
「うん。そうだね……」
と淳也が寝言をいっている。
「淳也、起きなさい」
ママに体を強く揺すられて淳也は目を覚まし、夢から出た。
だから、淳也の姿がゴエモンの前から消えたのだ。
「ママー、駄目じゃあないか。せっかく好美ちゃんが捕まっている建物
を探し出したのに!」
「また、夢を見ていたの?
駄目なのは淳也よ。こんな所で寝ていると風邪を引いちゃうから。
寝るんだったら、ベッドで寝なさい」
淳也はママの言葉を聞いてないかのように
「あっ、ゴエモンは?」
ゴエモンの小屋をのぞいた。ゴエモンはよい気持で寝ていた。
「ゴエモン、ゴエモン」
と、淳也は呼びながら、ゴエモンを抱き上げた。
その頃、ゴエモンは、『わしの催眠術の力が弱くて眠りが浅かったの
か』と、独り言をいっている。淳也がママに起されたとは知っていな
い。
ゴエモンは一人で、いや一匹で行動することにした。
ふわりと浮きあがり、好美ちゃんが捕らえられている二階の部屋に入
った。好美ちゃんは、すやすやと寝ていた。
『好美、好美!』
ゴエモンは呼んで、好美ちゃんを夢の中に入れた。
『あっ、犬だ! 犬が私を呼んだ?』
『シーッ! 静かに! 小さな声で!』
ゴエモンが好美ちゃんに言った。
『わしは、石川淳也の友達でゴエモンという。お前を助けるために来
た』
『えっ、本当? でも、どうやって、ここから逃げるの?』
『今は、助けることができない。しかし、きっと助けてやるから安心し
ておれ!』
『私、ママとパパに会いたい、夢でもいいから会いたい!』
好美ちゃんがかわいそうになった。
『そうか、では会わせてやろう。わしの体をまたげ』
『えーっ、でも……』
『かまわぬから、またげ、早く!』
好美ちゃんはゴエモンをまたいだ。ゴエモンと好美ちゃんはふわりと
浮きあがり、建物の屋根をすーっと通り抜けて空へ舞い上がった。好美
ちゃんもバランスを取りにくそうだ。
ゴエモンは淳也がしたように頭としっぽを握れと言った。淳也と同じ
ような格好になった。好美ちゃんは両親に会えると思うと必死である。
格好悪いなどと思っていない。
淳也の家の方に向かった。淳也の家の二軒隣が好美ちゃんの家であ
る。
『あっ、私の家が見えてきた』
好美ちゃんの家の前には、警察や新聞社、テレビ局の車が何台も留ま
っている。
『あっ、淳也君よ。ゴエモン!』
好美ちゃんは、二日前の夢の中で淳也と会っている。だから、淳也を
知っていた。
一方淳也の方は、ゴエモンと好美ちゃんが夢の中で空を飛んでいるこ
とをしらずに、ゴエモンの目を覚まそうとしている。
『あっ、淳也の馬鹿め! やめろ、淳也。わしを起こすのはやめろ!』
夢の中のゴエモンが叫んだ。
「ゴエモーン、起きろー」
淳也は、ゴエモンの耳のそばで大きな声を出した。たまらずゴエモン
は目を覚ました。
好美ちゃんの股の下でゴエモンが消えた。
好美ちゃんは、まっさかさまに空から落ちた。
『きゃー、ゴエモン。どこへ行ったのーっ、助けてー』
==今日はここまでです==
ゴエモンが目を覚ますと好美ちゃんはどうなるのでしょう。
そう、あなたが想像した通りになります。
では、次回をお楽しみに!
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